(ツイッタで烏龍茶さんのイラストに付けさせてもらったSSです)
「え~っと、なんでしたっけ」
「ア、アカデミー第三演習場設計のための地盤調査と、改良工事、並びに暗部棟改築申請許可書を受け取りに参りましたっ! あと、この資料に目を通していただき、サインを頂戴したくっ」
どさりと腰掛けた六代目火影の前で、抱えた巻物を差し出した。
手甲から伸びる節くれだった指先が流れるような動作で印を結び、紐解かれた巻物の上を視線がゆっくりと上下する。
六代目は何事もなかった様子ですべての巻物に目を通した後、六代目火影 はたけカカシの名前を書きつけた。
「あとは、申請許可書ねぇ」
そう言って、目の前に山積みとなった資料を前に眉を寄せる。
うんざり。
珍しくそんな表情を見せた火影に驚くまもなく、視線がふいと肩越しに向こう側を見やる。
「アカデミーの資料ってどこでしたっけ?」
振り返れば、部屋のソファの隅っこでイルカ先生が小さくなって俯いていた。
「ねぇ、せんせ」
こころなしか、声に甘さが感じられるのはけして気の所為などではない。
扉を開けた瞬間、目の前に飛び込んできた光景を思い出し、残像を打ち払うべく頭を振った。
「先生の家に持って帰ったのかな?」
先生の、家に。
反復しそうになって、ぎょっとして顔を上げた先生と視線があった。
「そそそそんなわけないじゃないですか。机の上にあるはずですよっ!!」
慌てた様子で戻って来た先生が、乱暴に机の上の資料を探る。
傍目にもわかってしまうぐらい頬が赤くなっているのに、つられて赤面しそうになる。
あんな場面を見られれば当然か。
抱き寄せられ片足を抱えあげられながら頬を寄せる、なんて親密という言葉では誤魔化しきれない場面に遭遇した身では、一緒の空間にいることにいたたまれなさを感じてしまう。
「あったっ! ありましたよっ、ほらっ!」
「ありがと」
書類を探すだけでなぜそこまで汗だくに、とは声にするまい。
六代目が書類を受け取る際に先生の指をするりと撫ぜた行為も見てみないふりをした。
『イルカ先生は、誰かいい人いないんですか?』
少し前、無邪気を装って探りを入れた言葉に「お前ら全員幸せになるのを見届けてから考えるよ」と笑った顔を思い出す。
きっと扉を開ける前から気づいていたのだろう。
火影に牽制されていたらしい事実に驚きつつも、敵うはずないと白旗上げて火影室をあとにした。
パタンとしまった扉越し。
「……あんた知っていたんだろ?」
「あはは、何がですか?」
「しらばっくれてっ! あいつは、俺の元教え子なんですよ──ッ!」
というなんとも微笑ましいやり取りに、うっかり吹き出すのをこらえながら。
「え~っと、なんでしたっけ」
「ア、アカデミー第三演習場設計のための地盤調査と、改良工事、並びに暗部棟改築申請許可書を受け取りに参りましたっ! あと、この資料に目を通していただき、サインを頂戴したくっ」
どさりと腰掛けた六代目火影の前で、抱えた巻物を差し出した。
手甲から伸びる節くれだった指先が流れるような動作で印を結び、紐解かれた巻物の上を視線がゆっくりと上下する。
六代目は何事もなかった様子ですべての巻物に目を通した後、六代目火影 はたけカカシの名前を書きつけた。
「あとは、申請許可書ねぇ」
そう言って、目の前に山積みとなった資料を前に眉を寄せる。
うんざり。
珍しくそんな表情を見せた火影に驚くまもなく、視線がふいと肩越しに向こう側を見やる。
「アカデミーの資料ってどこでしたっけ?」
振り返れば、部屋のソファの隅っこでイルカ先生が小さくなって俯いていた。
「ねぇ、せんせ」
こころなしか、声に甘さが感じられるのはけして気の所為などではない。
扉を開けた瞬間、目の前に飛び込んできた光景を思い出し、残像を打ち払うべく頭を振った。
「先生の家に持って帰ったのかな?」
先生の、家に。
反復しそうになって、ぎょっとして顔を上げた先生と視線があった。
「そそそそんなわけないじゃないですか。机の上にあるはずですよっ!!」
慌てた様子で戻って来た先生が、乱暴に机の上の資料を探る。
傍目にもわかってしまうぐらい頬が赤くなっているのに、つられて赤面しそうになる。
あんな場面を見られれば当然か。
抱き寄せられ片足を抱えあげられながら頬を寄せる、なんて親密という言葉では誤魔化しきれない場面に遭遇した身では、一緒の空間にいることにいたたまれなさを感じてしまう。
「あったっ! ありましたよっ、ほらっ!」
「ありがと」
書類を探すだけでなぜそこまで汗だくに、とは声にするまい。
六代目が書類を受け取る際に先生の指をするりと撫ぜた行為も見てみないふりをした。
『イルカ先生は、誰かいい人いないんですか?』
少し前、無邪気を装って探りを入れた言葉に「お前ら全員幸せになるのを見届けてから考えるよ」と笑った顔を思い出す。
きっと扉を開ける前から気づいていたのだろう。
火影に牽制されていたらしい事実に驚きつつも、敵うはずないと白旗上げて火影室をあとにした。
パタンとしまった扉越し。
「……あんた知っていたんだろ?」
「あはは、何がですか?」
「しらばっくれてっ! あいつは、俺の元教え子なんですよ──ッ!」
というなんとも微笑ましいやり取りに、うっかり吹き出すのをこらえながら。
スポンサードリンク