家へ帰る途中から、イルカの姿が見えないことにぐずりだしたサクヤを宥めすかして、カカシは自宅の扉を開けた。
このところずっとイルカの家へ入り浸りだったから、埃っぽくなっている部屋の窓を開けて、少しだけ換気する。
窓から見える月が、街灯の少ない里の道を優しく照らしている。
「うえぇ」
「おいで」
サクヤがここに来るのはけして初めてではない。
しかし、いつもイルカが一緒だったので不安なのだろう。
ぐずぐずと今にも泣き出しそうなサクヤに呼びかけると、一生懸命ハイハイをしてやってくる愛息子を抱き上げる。
不安に今にも涙が零れそうな様子に、愛しい恋人の姿が被る。
・・・頑なな表情をしていた。
何がイルカにそんな表情をさせたのか皆目検討もつかないところがカカシの悪いところだ。
「任務帰りだからねぇ」
とにかくこの汚れた身体をなんとかしなければ、サクヤを寝かしつけることもかなわない。
手っ取り早くシャワーを浴びようと、床におろしたところでまたサクヤが小さな手を伸ばす。
抱けと訴えるその手に、カカシは苦笑した。
「ちょっと待ってて」
小さく呟くと、歯で指先を裂き、素早く印を結ぶ。
白煙の中から現れた忍犬達が、涙を浮かべる小さな子供の姿に戸惑ってざわついた。
「サク坊」
「うぅ~」
ぐずるサクヤの頬を忍犬達がペロリと舐める。
「悪い、パックン達。シャワー浴びてる間だけ、サクヤをみてて」
「・・・構わんが、イルカは?」
お願いと顔の前で両手を合わせるカカシに、パックンはギョロリと濡れた眼を動かした。
「ん~・・・ちょっと疲れてるらしくって」
「・・・お主よりもか」
無茶な任務を最速で切り上げて戻ってきた事を知っているパックンの、責める口調にカカシは苦笑する。
「内勤だって、大変なのよ」
ただでさえ慣れない子育てに懸命なうえに、あの人はいろんな仕事をまるごと抱え込むから。
「・・まぁ良い。なるべく早くな」
「りょうかーい」
カカシが何処かへいくのを察したサクヤがハイハイで追いすがろうとするのを、忍犬達が先回りして阻止する。
「やぁん」
一番身体の大きなブルに阻まれて、前の見えないサクヤがべそをかいた。
「サク坊」
「やぁ~」
何とかブルを乗り越えようと立ち上がるも、とても乗り越えられず何度も尻もちをつく。
カカシに向いた意識を忍犬達が自分たちに向けようと努力するのだが、どんどん機嫌が悪くなるサクヤはとうとう本格的に泣きだした。
うわぁぁぁんッ!!!と、浴室まで聞こえるほどの号泣に、シャワーを頭から浴びていたカカシは苦笑しながら身体の汚れを素早く洗い流す。
パックンたちも頑張ってくれているようだが、一度泣きだしたらなかなかに頑張るサクヤだ。
特にイルカのいない今、そう簡単には泣き止んではくれないだろう。
「・・・イルカ先生にもっと感謝しないとね」
教師だからか、それとも元々の性質のせいか、イルカは子供の扱いが上手い。
サクヤのような赤ん坊と言っていい年齢の子にも飴と鞭を使い分けて上手に子育てをしている。
鳴き声がどんどんと大きくなり、それにつれていろんな足音が浴室に近づいてくる。
号泣に困り果てた忍犬達とサクヤのハイハイする音だ。
泣きながらパチパチと浴室のドアを叩かれ、カカシは慌ててシャワーを止めた。
「・・・サクヤ」
「わぁぁぁんッ!!!」
扉を開けたカカシに、必死に手を伸ばすサクヤの顔はもうぐちゃぐちゃだ。
「ちょっと待って」
慌ててカカシはタオルを手に取ると、手早く身体を拭いてサクヤを抱き上げた。
「何をそんなに泣いてるのよ」
困ったように聞いても、泣きじゃくったままのサクヤに言葉は通じない。
「・・・お腹空いてるのかな?」
「しらん」
パックンに同意を求めるも、忠実な忍犬は知らん顔を決め込むばかりだ。
「おむつ?」
ぐいっと持ち上げて臭いを嗅いでみるが、そんな様子はない。
トントンと背中を叩き、泣いてる我が子をあやす。
泣かないでと言いながら、涙で汚れた濡れた顔を拭ってやった。
こんな時、イルカはいつもどうして宥めているのだろう?
任務であまり里にいられない為、任せっぱなしにしていた事を少しだけ後悔した。
「い~」
「ん?」
「・・イルカを呼んでいるのだろう」
「・・・パックン凄いね」
こんな禄に話せない子供の言葉がわかるのかと、カカシは改めて忍犬の優秀さを褒めた。
「イルカ先生、疲れてるんだって。今日はオレと一緒にいようね」
そういえば、サクヤと二人っきりで過ごすのは初めてのことだ。
子供のためにイルカが用意した離乳食と足りなかった時のためのミルクを用意しながら、カカシは自分の分の食事も適当に作った。
忍犬達に任せてはいたものの、いつの間にか台所に来て足元に這っているサクヤを間違って踏んづけたりしないように、最新の注意を払って食事を運ぶ。
カカシの姿が見えないと不安なのだろう。
台所を居間を行き来するカカシの後をウロウロと這いずっている。
そのたびに忍犬に首根っこを掴まれて居間まで連れていかれるのだが、気付いたらまた足元にいる。
カカシは苦笑しながらそんなサクヤを抱き上げた。
「ご飯にしようか?」
「・・い~?」
キョロキョロとイルカを探すサクヤに、困ったように微笑んで。
先ほどのイルカの様子を思い浮かべた。
・・・育児を任せすぎたかな・・・?
子供がこうウロチョロしては、イルカも気が休まることがなかっただろう。
カカシにとってはだた可愛いだけだが、イルカは育児休暇が終わったその日から再びアカデミーと受付を兼務している。
そんなにあくせく働かなくてもいいのにと、カカシは思う。
二人で子育てを始めてから、カカシの通帳は全てイルカに預けている。
そこから好きなように使えばいいものを、必要最低限の金額しかイルカは引き出そうとはしないのだ。
それに、木の葉は優秀な人材を無駄にほっておいてはくれない。
内勤の忍びとしては大変優秀なイルカは、今も引っ張りだこだ。
それにしてもと。
カカシはここ最近のイルカの様子を鑑みた。
何か追い詰められたような、思いつめた顔をしていた。
「まさか育児ノイローゼとか・・・」
ボソリと呟いたカカシの言葉に、サクヤがブーッと頬をふくらませた。
「まんま」
「あぁ・・はいはい。ご飯ね」
居間まで連れて行き、小さなスプーンですりつぶしたカボチャを口に運ぶ。
ウマウマと頬張るサクヤに笑いながら、カカシは小さな幸せを噛み締めた。
「美味しい?」
「しー」
満足気に笑うサクヤに、カカシもつい頬がゆるんでしまう。
「イルカ先生の手作りだもんねぇ」
本当はカカシもイルカの料理を食べたかったのにと、サクヤの離乳食を自分の口に入れた。
「・・・・・」
ほとんど素材の味しかしない。
「やーん」
自分の食事を取られて、サクヤが頬を膨らませて怒る。
「・・ごめん、ごめん」
小鳥の雛よろしくパッカリと開いた口の中に、次々と食べさせた。
全て食べ終わった後もまだ満足しないのか、カカシの食事に手を出すサクヤに、冷ましたミルクを含ませる。
哺乳瓶を落とさないように忍犬に任せて、カカシは自分の食事を急いで摂った。
*****
食事は何とかクリア出来たものの、入浴と寝かせるのがまた大変だった。
満腹になったら勝手に寝るのかと思いきや、風呂の中では大号泣、寝室ではイルカを呼んでさめざめと泣く我が子に、カカシは参ったと頭を抱えた。
子育てに参加していたつもりだが、肝心な所は全てイルカ任せでだったことに気づく。
イルカはどうやって寝かせていただろうと思い出し、一応添い寝をしてみるものの、悲しげな涙を流すサクヤにカカシはどうしてやることも出来ない。
しかも、激務の任務帰りでカカシも相当に疲れていた。
「イルカ先生の有り難みが身にしみる・・・」
呟いて、サクヤの身体をポンポンと叩いてやる。
「い~・・?」
「そう、イルカ先生」
名前に反応するサクヤに、カカシが苦笑した。
「側にいないと寂しいねぇ」
「・・・・・」
もみじの手がカカシの頬に伸ばされて、小さな爪で傷跡をひっかく。
「・・痛いよ」
ふふふっと笑い、その小さな掌を撫ぜた。
そういやイルカはよくこの小さな指を鼻の穴に突っ込まれてたなぁと思い出し、カカシは笑った。
『一人でいたいんです・・・』と、思いつめた顔をしていたイルカが脳裏をよぎる。
やはり、様子がおかしかった。
物凄く気になるが、家へも来てくれるなと言ったイルカの気持ちを尊重してやりたい気持ちもある。
「かー」
「ん~?」
いつの間にか泣き止んでいたサクヤが、小さな声でカカシを呼ぶのに、微笑みながら応えてやる。
イルカによく似た真っ黒な眼が、涙で潤んでゆらゆらと揺れている。
「ほんとそっくり」
里の皆はカカシに生き写しだというが、カカシはそうは思っていない。
瞳の色もそうだが、表情なんてイルカにそっくりじゃないか。
「サクヤがそんな顔をしてるってことは、あの人もそうなのかな・・・?」
気遣うだけの人。
自分の思いはいつだって後回しだ。
「おいで」
まだ少しべそっている小さな身体を抱き寄せて、その甘くミルク臭い匂いを嗅ぐ。
どこかに愛しい恋人の匂いが残っていないかと探るように。
柔らかな子供の感触に、込み上げてくる愛しさをこらえきれずに唇に笑みの形を作った。
「かー・・・」
「ん・・おやすみ」
優しく身体を擦り、小さく囁く。
トロリととけるように、銀糸に縁取られた瞼が閉じるのを確認して、カカシも同じように瞳を閉じた。
このところずっとイルカの家へ入り浸りだったから、埃っぽくなっている部屋の窓を開けて、少しだけ換気する。
窓から見える月が、街灯の少ない里の道を優しく照らしている。
「うえぇ」
「おいで」
サクヤがここに来るのはけして初めてではない。
しかし、いつもイルカが一緒だったので不安なのだろう。
ぐずぐずと今にも泣き出しそうなサクヤに呼びかけると、一生懸命ハイハイをしてやってくる愛息子を抱き上げる。
不安に今にも涙が零れそうな様子に、愛しい恋人の姿が被る。
・・・頑なな表情をしていた。
何がイルカにそんな表情をさせたのか皆目検討もつかないところがカカシの悪いところだ。
「任務帰りだからねぇ」
とにかくこの汚れた身体をなんとかしなければ、サクヤを寝かしつけることもかなわない。
手っ取り早くシャワーを浴びようと、床におろしたところでまたサクヤが小さな手を伸ばす。
抱けと訴えるその手に、カカシは苦笑した。
「ちょっと待ってて」
小さく呟くと、歯で指先を裂き、素早く印を結ぶ。
白煙の中から現れた忍犬達が、涙を浮かべる小さな子供の姿に戸惑ってざわついた。
「サク坊」
「うぅ~」
ぐずるサクヤの頬を忍犬達がペロリと舐める。
「悪い、パックン達。シャワー浴びてる間だけ、サクヤをみてて」
「・・・構わんが、イルカは?」
お願いと顔の前で両手を合わせるカカシに、パックンはギョロリと濡れた眼を動かした。
「ん~・・・ちょっと疲れてるらしくって」
「・・・お主よりもか」
無茶な任務を最速で切り上げて戻ってきた事を知っているパックンの、責める口調にカカシは苦笑する。
「内勤だって、大変なのよ」
ただでさえ慣れない子育てに懸命なうえに、あの人はいろんな仕事をまるごと抱え込むから。
「・・まぁ良い。なるべく早くな」
「りょうかーい」
カカシが何処かへいくのを察したサクヤがハイハイで追いすがろうとするのを、忍犬達が先回りして阻止する。
「やぁん」
一番身体の大きなブルに阻まれて、前の見えないサクヤがべそをかいた。
「サク坊」
「やぁ~」
何とかブルを乗り越えようと立ち上がるも、とても乗り越えられず何度も尻もちをつく。
カカシに向いた意識を忍犬達が自分たちに向けようと努力するのだが、どんどん機嫌が悪くなるサクヤはとうとう本格的に泣きだした。
うわぁぁぁんッ!!!と、浴室まで聞こえるほどの号泣に、シャワーを頭から浴びていたカカシは苦笑しながら身体の汚れを素早く洗い流す。
パックンたちも頑張ってくれているようだが、一度泣きだしたらなかなかに頑張るサクヤだ。
特にイルカのいない今、そう簡単には泣き止んではくれないだろう。
「・・・イルカ先生にもっと感謝しないとね」
教師だからか、それとも元々の性質のせいか、イルカは子供の扱いが上手い。
サクヤのような赤ん坊と言っていい年齢の子にも飴と鞭を使い分けて上手に子育てをしている。
鳴き声がどんどんと大きくなり、それにつれていろんな足音が浴室に近づいてくる。
号泣に困り果てた忍犬達とサクヤのハイハイする音だ。
泣きながらパチパチと浴室のドアを叩かれ、カカシは慌ててシャワーを止めた。
「・・・サクヤ」
「わぁぁぁんッ!!!」
扉を開けたカカシに、必死に手を伸ばすサクヤの顔はもうぐちゃぐちゃだ。
「ちょっと待って」
慌ててカカシはタオルを手に取ると、手早く身体を拭いてサクヤを抱き上げた。
「何をそんなに泣いてるのよ」
困ったように聞いても、泣きじゃくったままのサクヤに言葉は通じない。
「・・・お腹空いてるのかな?」
「しらん」
パックンに同意を求めるも、忠実な忍犬は知らん顔を決め込むばかりだ。
「おむつ?」
ぐいっと持ち上げて臭いを嗅いでみるが、そんな様子はない。
トントンと背中を叩き、泣いてる我が子をあやす。
泣かないでと言いながら、涙で汚れた濡れた顔を拭ってやった。
こんな時、イルカはいつもどうして宥めているのだろう?
任務であまり里にいられない為、任せっぱなしにしていた事を少しだけ後悔した。
「い~」
「ん?」
「・・イルカを呼んでいるのだろう」
「・・・パックン凄いね」
こんな禄に話せない子供の言葉がわかるのかと、カカシは改めて忍犬の優秀さを褒めた。
「イルカ先生、疲れてるんだって。今日はオレと一緒にいようね」
そういえば、サクヤと二人っきりで過ごすのは初めてのことだ。
子供のためにイルカが用意した離乳食と足りなかった時のためのミルクを用意しながら、カカシは自分の分の食事も適当に作った。
忍犬達に任せてはいたものの、いつの間にか台所に来て足元に這っているサクヤを間違って踏んづけたりしないように、最新の注意を払って食事を運ぶ。
カカシの姿が見えないと不安なのだろう。
台所を居間を行き来するカカシの後をウロウロと這いずっている。
そのたびに忍犬に首根っこを掴まれて居間まで連れていかれるのだが、気付いたらまた足元にいる。
カカシは苦笑しながらそんなサクヤを抱き上げた。
「ご飯にしようか?」
「・・い~?」
キョロキョロとイルカを探すサクヤに、困ったように微笑んで。
先ほどのイルカの様子を思い浮かべた。
・・・育児を任せすぎたかな・・・?
子供がこうウロチョロしては、イルカも気が休まることがなかっただろう。
カカシにとってはだた可愛いだけだが、イルカは育児休暇が終わったその日から再びアカデミーと受付を兼務している。
そんなにあくせく働かなくてもいいのにと、カカシは思う。
二人で子育てを始めてから、カカシの通帳は全てイルカに預けている。
そこから好きなように使えばいいものを、必要最低限の金額しかイルカは引き出そうとはしないのだ。
それに、木の葉は優秀な人材を無駄にほっておいてはくれない。
内勤の忍びとしては大変優秀なイルカは、今も引っ張りだこだ。
それにしてもと。
カカシはここ最近のイルカの様子を鑑みた。
何か追い詰められたような、思いつめた顔をしていた。
「まさか育児ノイローゼとか・・・」
ボソリと呟いたカカシの言葉に、サクヤがブーッと頬をふくらませた。
「まんま」
「あぁ・・はいはい。ご飯ね」
居間まで連れて行き、小さなスプーンですりつぶしたカボチャを口に運ぶ。
ウマウマと頬張るサクヤに笑いながら、カカシは小さな幸せを噛み締めた。
「美味しい?」
「しー」
満足気に笑うサクヤに、カカシもつい頬がゆるんでしまう。
「イルカ先生の手作りだもんねぇ」
本当はカカシもイルカの料理を食べたかったのにと、サクヤの離乳食を自分の口に入れた。
「・・・・・」
ほとんど素材の味しかしない。
「やーん」
自分の食事を取られて、サクヤが頬を膨らませて怒る。
「・・ごめん、ごめん」
小鳥の雛よろしくパッカリと開いた口の中に、次々と食べさせた。
全て食べ終わった後もまだ満足しないのか、カカシの食事に手を出すサクヤに、冷ましたミルクを含ませる。
哺乳瓶を落とさないように忍犬に任せて、カカシは自分の食事を急いで摂った。
*****
食事は何とかクリア出来たものの、入浴と寝かせるのがまた大変だった。
満腹になったら勝手に寝るのかと思いきや、風呂の中では大号泣、寝室ではイルカを呼んでさめざめと泣く我が子に、カカシは参ったと頭を抱えた。
子育てに参加していたつもりだが、肝心な所は全てイルカ任せでだったことに気づく。
イルカはどうやって寝かせていただろうと思い出し、一応添い寝をしてみるものの、悲しげな涙を流すサクヤにカカシはどうしてやることも出来ない。
しかも、激務の任務帰りでカカシも相当に疲れていた。
「イルカ先生の有り難みが身にしみる・・・」
呟いて、サクヤの身体をポンポンと叩いてやる。
「い~・・?」
「そう、イルカ先生」
名前に反応するサクヤに、カカシが苦笑した。
「側にいないと寂しいねぇ」
「・・・・・」
もみじの手がカカシの頬に伸ばされて、小さな爪で傷跡をひっかく。
「・・痛いよ」
ふふふっと笑い、その小さな掌を撫ぜた。
そういやイルカはよくこの小さな指を鼻の穴に突っ込まれてたなぁと思い出し、カカシは笑った。
『一人でいたいんです・・・』と、思いつめた顔をしていたイルカが脳裏をよぎる。
やはり、様子がおかしかった。
物凄く気になるが、家へも来てくれるなと言ったイルカの気持ちを尊重してやりたい気持ちもある。
「かー」
「ん~?」
いつの間にか泣き止んでいたサクヤが、小さな声でカカシを呼ぶのに、微笑みながら応えてやる。
イルカによく似た真っ黒な眼が、涙で潤んでゆらゆらと揺れている。
「ほんとそっくり」
里の皆はカカシに生き写しだというが、カカシはそうは思っていない。
瞳の色もそうだが、表情なんてイルカにそっくりじゃないか。
「サクヤがそんな顔をしてるってことは、あの人もそうなのかな・・・?」
気遣うだけの人。
自分の思いはいつだって後回しだ。
「おいで」
まだ少しべそっている小さな身体を抱き寄せて、その甘くミルク臭い匂いを嗅ぐ。
どこかに愛しい恋人の匂いが残っていないかと探るように。
柔らかな子供の感触に、込み上げてくる愛しさをこらえきれずに唇に笑みの形を作った。
「かー・・・」
「ん・・おやすみ」
優しく身体を擦り、小さく囁く。
トロリととけるように、銀糸に縁取られた瞼が閉じるのを確認して、カカシも同じように瞳を閉じた。
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